【新矢視点】


……んあ?


屋上でボーッと外を眺めていた俺は、背後のカサカサという乾いた音に気付いた。


振り返ると、小さいナイフで固定された紙切れが虚しく風に揺れていた。


この学校でナイフ使うの二人しかいねェし、楔はこんなご丁寧に手紙なんか残さない。


と、言うことは月光だな。


ナイフを抜いて、手紙を読み始める。


『真後ろに来ても気付かないから、手紙を残す。


今日の戦い、悪かった。俺は普段武器で力を制御してるのだが、新矢が第一段階の鎌を使用不可能にしたため、第二段階に入った。あの鎖刀の時だ。


だが、いつもは第一段階で済ますため、使い慣れてない。少し制御がきかなくなった。それが片腕を切り落とした原因だ。


これを謝っておきたかった。じゃあな。

月光』


あいつめ……


俺は溜め息を吐き、屋上を出て、月光の所へ向かった。