「月光に言われたら仕方無いけど……」
鎧が言葉とは裏腹に不機嫌そうな顔で言った。
「……まァ考えりゃ下らねェな」
新矢も納得はしたようだがやはり不機嫌そうな顔だ。
「しょうがないから自動販売機で買ってきますよーだ。もう」
「最初っからそうしろバーカ」
「何だとー!?」
「だからやめろって言ってんだろ」
また始まりそうだったので阻止。
本当こいつらは仲が悪いな。
「二人とも」
菓子パンを食べ終わった楔がじっと見つめてきた。
「早く食べないと僕が食べるよ」
今にも奪ってきそうな構えをしたので、柵を乗り越えて逃走。
「新矢、パン取られるぞ」
未だ鎧と睨み合いをしていた新矢に注意する。
背後の楔に気付き、新矢も柵を乗り越えて逃げる。
「最初から早く食べてよ。じれったい」
呆れ顔でフゥッと溜め息を吐かれた。
というか俺はもう食べ終わっているが。
俺も楔も新矢を見る。
「こっち見んな。食いにくい」
新矢が目を背けて黙々と食べ始めた。
俺は音楽を聴こうとポケットを探ったが、机の中に忘れてきたようだ。
仕方無いので胸ポケットから小さめの本を取り出し、それを読み始める。


