「だれ…?」


おどおどとした声で聞く。もちろん全て演技だ。


「僕は矢野渚(やのなぎさ)。君は?」


「ボクは……鎧。神崎鎧」


涙目で答える。


「鎧君か。お家が何処か分かる?」


分からないから迷子って言うんでしょ。


思わずツッコミしそうだったが耐える。


「ううん……わかんない」


少年は首を横に振る。


「そっか。じゃあ、お母さんの名前、分かる?」


少年は焦った。


彼には、両親が居ないのだ。


昔、殺されて。