「ま、誰でもいいし。今日の不幸な人間はだーれかなー★」
先程まで少年が見ていた人が良く通る通りとは違い、人通りの少ない道に入る。
「迷子のふりしてればいっか」
少し不安な表情を一瞬で作り、親とはぐれた子供のふりをした。
これでお人好しな大人は寄ってくる。
少年はそこを狙う。
早速一人の人間が寄ってきた。
思わずこぼれそうな笑みを堪えて、不安な表情をキープする。
「君、迷子?」
お人好しな大人が話し掛ける。
少年はビクッと体を反応させ、びっくりしたように見せる。
そして泣きそうな表情でゆっくり振り返る。


