(三春side)

「俺だけ、生きてた。死ねなかったんだ
……」


頭の整理が追いつかない。


今の大和の言ったことが、過去のことなら、大和は、どれだけのものを抱え込んでるの?


「起きたら、葬儀の真っ最中だったよ。母さんの」


大和の、私を抱きしめる力が強くなる。


「俺は、1人ぼっちで、置いてかれたんだよ……」


悔しそうに、言う。


大和ーーー。


「やま、と……っ」


「なんで、なんで三春が……」


大和は、苦笑すると私の頭をそっと撫でた。


「俺だって我慢してんのに」


震えた声とともに、大和の瞳が大きく揺れた。


違う、大和の瞳が揺れたんじゃなくて……。


「だって、だってぇ……っ、ぐすっ」


「泣くなっ、な、くんっじゃっ、……」


ーーーポタッ


私の涙が、大和の肩を濡らして、大和の涙が私の肩を濡らす。


私達は、強く抱き合って泣きあった。


「三春、ごめんな……こんな姿、見せちゃって」


「いいの。こっちもごめんね。何にも知らなかったから、あんなことーーー……」


『私って、そんなに邪魔?』


思い返すと、胸が痛む。