施設から本当に出ることになって…
東京で咲さんと暮らす事になった。
「也佳ちゃんっ!!ここだよ!!ここっ!!私達の家だよ。」
やっぱり若い私の新しいお母さん。
今、私のたまに出るハイテンションな性格は誰譲りか聞かれたら間違いなく咲さんだって答える。
「お…お邪魔…し…ますっ」
緊張してこれから暮らす自分の家だというのになんだか落ち着かなかった。
「いいところでしょ?あ、ちゃんとね也佳ちゃんの部屋もあるんだよ!」
背中を押されながら連れて行かれた場所。
ドアを開けると一人では広いかなって思う位の部屋だった。
だけど…むねがワクワクして。
どうしようもなく楽しみだった。
これから新しいお母さんと、新しい家で…
新しい道を歩いていく。
「よし。んじゃっ!!…写真撮ろうか。」
今日もニコニコ笑顔の咲さんがそう言った。
写真は産まれて初めてだと思う。
ハイチーズと言うその声に合わせて笑ってみる。
きっと幸せってこういう事だと実感した。
他の人にとっては何気ない事だと思う…でもそんな日常の中に私がいる事が嬉しかったんだ。
キラキラと眩しくて。
いつも…一秒一分が宝物で。
本当に本当に…咲さんと過ごす毎日が輝いて見えた。
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