ビターオレンジ。



「…しょうがないから一緒に暮らすのは良いとは言ったけど…」



「うん?」

「なんでこの狭いベットに2人で寝なくちゃいけないのさ!!」




数分前





「どうして?」


不思議だった。

だってもう、この家に咲さんはいない。



だから斗間君がここにくる意味もない。




だったらなんで…?



「まぁ、本当はお父さんだけど…歳も近いし也佳の兄貴みたいな存在じゃん?」


「…。」


「だからさ妹守るのは当然だし、家族として一人にはさせられないからかな。」




嬉しかった。

家族だって認めてくれて。

だけど、



ちょっと悲しかった。



私は斗間君の妹…

やっぱりそう見られていたから。




でも、どんな風に見られていたとしても傍にいたかった。

少しでも私を見て欲しかったのかな。





「しょうがないから…いいよ」



可愛くない。

素直に嬉しいって言えばいいのに。




言えないのが咲さんとは違う私。


本当に嫌になる。



緩くなる口元を隠すのが精一杯だった。


そして、話し込んでるとすっかり夜になってしまい寝る事に。




だけどそこでひとつ問題が出てきた。



今日は私の布団を洗濯してしまい、咲さんのベットしか寝る場所がない。






1人だったら全然なにも問題なんてない。



けど、今日は目の前のこの人と2人なのだ。





「私ソファーで寝るから…」

「いや、俺ソファー使うよ。」




なんてよくある会話を繰り返して結局ベットに2人で寝る事になった。



そして今に至る。






「やっぱり私、ソフ「五月蝿いよ。」




最後まで言わせてもらえなかった言葉がしばらくの間、



心のなかでふわふわと浮かんでいた。