ビターオレンジ。

でも…。



「なんで…いるの?」


「ここで、今日から暮らす事になったから。」


「えっ…?」




私の驚きように、ふふって笑った斗間君。

貴方のその笑顔がどれだけ、私を苦しめているか…


きっと知らないんだろうな。





斗間君と暮らす事になるよりも斗間君の笑顔で頭がいっぱいな私は、相当なんだと思う。





「俺。帰るね…また明日、学校来いよ?」




遠慮してか、

いつもと同じお決まりの言葉を言って玄関へ向かって行った本宮くん。

手を上げてヒラヒラと揺らしていて、





「行くよ…勿論!」


そう伝えると満足げ笑って帰って行った。




そして2人っきりになってしまった部屋。


自分の身体の中で響く速まった鼓動の音。




どうしてだろう。

あの時は大丈夫だったのに…。
耐える事が出来たのに…。



今はそれが上手くできない。




この想いも抑えておく事なんて簡単だったのに。

いつの間にか知らないうちに私は、






斗間君への想いに溺れていたんだ。


貴方を知りすぎてしまったために。

貴方に優しくされてしまったために。





私はどんどん斗間君を好きになった。






もう…後戻りなんて出来ないとわかっていながら。