「なぁ高橋」

「なに?」

「…やっぱいいわ」

「なによ?」

「なんでもねぇって」

そう言って窓際に座る中谷は外へと視線を向けた。
爽やかな風に黒い髪を靡かせていて空を見つめる瞳はどこか悲しそうだった。

このまま中谷はどこか遠いところへ行ってしまう気がして私はただ、その横顔を見つめることしかできない…。