私は真っ赤になって口をぱくぱくさせる。一緒に住むってだけで私にしてみたらかなりの勇気だったのに、この上そんな、一緒の部屋で寝るのですかっ!?

 そ、そ、それって私、ちゃんと眠れるのですかっ!?

 まさしくそんな驚きだった。

 龍さんは垂れ目を大きく見開いて、からかうときの顔をして言う。

「ジュンコさん、本当にバツ1?結婚してたこともある女がどうしてそこで驚くわけ?元ダンナは通い婚だったのか?」

「い、い、いやいや、そんなことないけどっ!でも、夫とは結婚してたわけで――――――龍さんは彼氏だし――――――」

 私はあわくってわたわたとそういう。だけどそれは地雷だったらしい。彼は次の瞬間には機嫌を損ねた顔で、ぐぐーっと私に近づいた。

「・・・結婚してるのも同棲も、一緒だよ」

「へ・・・」

「いや、むしろ結婚より同棲の方がやらしいだろ。義務や責任がない同士が一緒に住むんだから」

「・・・えーっと、あの・・・」

「ジュンコさんは俺と寝るの、嫌なわけ?」

「い、いえいえいえ!そんな、こと、は、ないんですが・・・」

「ないけど、何?」

「い、いいいいえ、あの・・・大丈夫です」

「じゃ、同じ部屋で」

「う、あ、はい」

 龍さんがにーっこりと笑う。

 そんなわけで、姉が使っていた部屋は私の仕事部屋になり、私の寝室は二人の寝室へと変貌を遂げたのだった。