「空きました~・・・」

 本当に空いていた。だってもう2時だ。今日は色々あって、何だかもう夜のような気がしていたけれど、実際の所はまだ2時だったのだ。だけど、お昼は食べてない。

 龍さんが頷いた。

「俺も。それに運動もしたし、腹減ったなあ~・・・。うーん、でも先に目の前のご馳走を食べたいような気もするし」

「え」

「舞台が整ってるなら、頂かないと罰が当たるよな」

「はい?」

 目の前のご馳走。別にわざとじゃなく、私は部屋の中を見回す。どこに、ご馳走が?そう思って。

 龍さんはまたゲラゲラと笑った。

「本当に鈍いよな!まあ、そこが可愛くもあるんだけど~」

 それから怪訝な顔をしている私に手を伸ばして―――――――――アッサリと誘惑をした。

「ご、ご、ご飯は~!?」

 そう叫ぶ私をキスで黙らせて、彼は素早く手を動かす。

 ごめんねって、言ってた。

 ちゃんと長い前戯してジュンコさんを喜ばせたいけどさ、俺、本当にお腹空いてんだよ、って。だけど折角綺麗にしたジュンコさんが目の前にいるし、俺も汗を流したし、ちょっとツマミ食いさせてって。