3つのR



 私はしばらくその画面を眺めていた。何のコメントもなしで、ただ、住所。龍さんまだ怒ってるのかな・・・。一瞬心に不安が忍び込んだけれど、いやいや、と私は頭を振る。

 私が行くって言ったから送ってくれたんだ。そうだ、行かなくちゃ。

 ベンチから立ち上がる。そして駅前の地図で確認をして、私はそちらへ向けて歩き出した。15分ほどかかると予想していた。案外彼が近くにいたことにホッとしていた。電車にずっと乗らなきゃならないところだったらどうしようって思っていたのだ。

 ああ、良かった。もう少しで龍さんに会える・・・・。




「・・・・・・・こ、こ?」


 目指した住所の通り、私はその龍さんが勤める店「山神」がある商店街に近い交差点で、呆然とその古いビルを見上げる。

 そこには古びていかつい看板が出ていて、「森ボクシングジム」と明記してあった。

 ――――――――ジムって・・・ボクシングなの~!?

 うわわわ・・・どうしよう。どうしたらいいの。

 さっきまでの決心は一瞬で揺らぎ、私はただちょっと離れた場所からそこを眺めるばかり。古びた2階建てのビルにはボクシングジムしか入っていないらしく、複数の男性の声や何かを打つ音、ぴしぴしと縄が地面にあたるような音が響いている。アルミのドアが半分だけ開いていて、中の音はそこから聞こえてくるようだった。

 こ、ここに・・・入るの、私?

「・・・ちょっとそれは・・・勇気が・・・」

 ないです。最後は心の中で呟くだけになった。