と、言ったって、実際のところ私は龍さんがどこの「ジム」へ行くのかなんて勿論判らない。そして彼のことは、住んでいる部屋と、勤めている居酒屋しか知らないのだった。
しかも今日は月曜日で彼の店は休み。ということは、龍さんがどこに行ってるかを知ってそうな人達、店長さんとか店員さんとかにも会えるとは思えなかった。
私はあまりにも龍さんのことを知らずにいた。
それはまるで元夫と同じで、正直に言うと自分にガッカリした。
・・・ああ、私ったらまた完全なる受身だったんだわ、そう思ったのだ。
彼のことを知らない。
そんなことに気がつきすらしてなかったのだ。
「もう!」
自分に腹を立てて、私はとりあえずと駅前に向かいながら、龍さんの携帯へメールをする。だって何してるのか知らないけど電話には出れないかもしれないし、そう思って。
――――――――――今どこですか?私そっちへ行きます。
そうメールをして、駅前のベンチに座って返信を待つ。
電話がくるかな。電話しろって言ったのにって叱られるかな。私はドキドキしながら両手に握り締めた彼から貰った携帯電話を見詰める。
5分くらい経ったころ、電話が振動した。
急いであけると、それはメール画面。
―――――――――――住所、〇〇町〇番地、角。
・・・住所、だ。



