そうだ、努力はするべきだ。だって龍さんは、こんな私を選んでくれたのだもの。長い間引きこもって、自分の力で立とうともがく私に、笑顔をくれたのだもの。
・・・そしてまた今、チャンスをくれたのだ。
玄関を開けると姉がすっ飛んできた。
「潤子!潤ちゃん!!ど、ど、どうだった?」
姉の両目は見開かれ、期待に満ちてランランと輝いている。
私は心底申し訳なく思いながら、こう言った。
「まだ話せてないの。いい出せなくてオロオロが態度に出ていた私にイラっときて、龍さんはどこかへ行ってしまったわ」
姉の口がぽかーんと開いた。
「――――――――は?・・・あんた一体何やってるの?」
私が歩く後をつけながら、姉が掠れた声を出す。私は居間をつっきってベランダにゴミ袋を置いてから、姉に向き直った。
「判ってる。ものすごーく反省しながら帰ってきたところなの。でも今回はちゃんと行動に出るから、もうしばらく時間を頂戴」
私がきっぱりとそう言うと、姉はまだ呆れた顔をしたままで呆然と頷いた。
「・・・ああ、そう」
私は洗面所へ行って埃だらけになった手を洗い、顔も冷たい水で洗う。どうせ日焼け止め程度しかしてなかったからいいのだ。
それから自室へ入っていって、砂だらけになった服を着替える。
鏡を取り出して、簡単ではあるけれど化粧をした。肌の色を整えて、頬の赤みを消してから唇には色を乗せる。これで顔色も良く見えるわ。そしてマスカラ。折角前髪が短いのだから、睫毛を長く見せよう。ぼんやりと見える目元を引き締めて、決意を新たにした。



