3つのR



「私がもうちょっとハキハキできればいいんですけどね・・・」

 そう言ってから悲しくなった。私は龍さんの悪い面を引き出しやすい人間なのだろうか、そう思ったのだ。相性というよりはかみ合わせの強弱に近い、人間のどの面が出やすくなるかはその相手によって変わるのが普通だ。

 短気ではあっても明るい龍さんが、私のせいでイライラしてしまうことが多くなるようなら、それは申し訳ないよね、そう思ったんだった。

「気にしすぎですよ」

 徳井さんの声が聞こえた。勝手に地面に沈みこみそうだった私はハッとして顔を上げる。徳井さんは眼鏡の奥から優しい瞳で私を見ていた。

「気にすることではないと思いますよ。現に、彼は彼で対処しているようですし。それでも気になるというのなら、自分が変わるしかないでしょうね」

 ・・・自分が変わる。私は徳井さんの言葉を胸の中でリピートする。だけど、といつもの素敵な声で彼が続けた。

「それをあの人が喜ぶかは知りませんよ。今の阿達さんを、彼が好きなのならね」

 有難い言葉だった。落ち込む私の頭をゆっくりと撫でてくれるようなそれに感謝して、私は深呼吸を一つする。

「・・・でもやっぱり努力はするべきですよね」

 そう言ってみたら、出来そうな気がしてきた。徳井さんがさっきよりももっとハッキリと口元に笑みを浮かべた。

「それは前向きな言葉ですね」

 私はゴミ袋を持ち上げる。

 そして、徳井さんに慰めてくれたお礼を言って頭を下げると、自分の家に戻った。