確かに旅行に行って抱かれてからは、彼との距離はもっとぐっと近寄った。それからは昼間のデートでも龍さんは私を自分の部屋へ引き摺っていくこともあったし(彼の部屋は小さくて、びっくりするほど物がなかった)、そこで人には言えないことをたっぷりされることもある。
だけど心の距離が近づけど、やはり手軽に気軽に言えないことだってあるわけで・・・。
もじもじもじ・・・。私がゴミを拾いながらもチラリと龍さんを盗み見る回数が増えるにつれ、彼の機嫌がどんどん悪化していった。
「――――――くっそー!もう限界だああああ!こぉら、ジュンコさん!」
「は、はいっ!?」
うがあ!と叫びながら、龍さんが私に向き直り、持っていた缶を地面に投げつけた。
「何なんだよさっきから!もうそろそろいい加減にしろっつーの!」
「うっ・・あの・・・はい、ごめんなさい・・・」
怖い怖い怖い~!茶色の髪の毛を陽光に煌かせて、彼は怒れる巨人となって私の前に仁王立ちになっていた。
眉間にはくっきりと皺が寄り、タレ目がほそ~くなっている。
私は自分のゴミ袋をつい胸に抱きしめて、どうしたらいいのって涙目になっていた。
・・・こ、怖い。
そろそろと後ろに下がる。公園を散歩中の人達も龍さんの怒鳴り声に驚いたらしく私達を見ているのが判った。
ああああ~・・・。
「あの・・・・ごめんなさい。今日は帰ります」
「あ!?何でそうなるんだ!」
龍さんが最高に機嫌の悪そうな声で詰め寄る。



