「いい解決策があるのよ、潤子!!」
「え?」
姉が、台所のカウンターに置いてある私の携帯電話を指差した。
「右田君に、同棲しましょ~!って可愛らしく頼んでみて~」
・・・ぶっ・・・!
お茶も飲んでないのに、私はその場で噴出した。
「そ、そ、そ、そんなこと言えませんっ!!」
私としては精一杯叫んだつもりだ。
だけど姉が、それもこの度結婚して10歳の子供さんの母親をしようと決意したばかりの姉が、ただ消極的ってだけで色んなことをやってこなかった妹の実家離れを諦めるはずがなかった。
宥めすかし、泣き落としもし、しまいには、こう言ったのだ。
目を三角に吊り上げて、髪の毛まで逆立てて。
「判ったわ!何が何でもそんなことは言えないっていうなら、私は結婚を止めるっ!!彼にも妹が心配だから私のことは忘れて下さいって言ってやるんだからあああああああ~っ!!!」
――――――――――・・・・どうしてそんなことに。
私は床に倒れ伏して、姉が口から炎を出してぎゃあぎゃあ言うのを聞くまいと頑張っていた。
だけれども、龍さん本人が「そんなの無理、嫌、勘弁」って言うならば、勿論強制は出来ないのよ、という姉の言葉にハッとしたのだ。



