――――――――ああ!
ここに来て、私はやっと姉が話し出した目的を理解した。
そうか、さっきも言ってたじゃない、お姉ちゃんは!実家から通い婚するって。ということは、姉はここから出て行くってことで―――――――――
「・・・うわ、本当だ。私、一人暮らしになるわけか」
私がそう呟くと、姉は眉毛を下げて言葉を続ける。
「でもあんたはまだ一人暮らしするには、稼ぎがほら、あれでしょう、中途半端なのよね。今のままじゃ不動産の契約は難しいと思うし」
・・・うっ。
私は痛い現実を突きつけられて唸る。
そ、そうだ。私程度の稼ぎでは、到底一人で部屋を借りるのは無理に違いない。だって言ってみれば自営だし、販売を広げてからの確定申告はまだ一度しかしてなくて、それを元にしては不動産会社から信用を得るのは難しいだろう。
「そっ・・・その影響があったのね」
わお、どうしましょ。私はテーブルに肘をついてその上に顔をのせた。ああ・・・一難去ってまた一難って、これかしら。私ももしかして、姉と一緒に実家に戻らなきゃならないのかしら。ううう・・・出来たらそれはやめたいところだわ。
だけど、テーブル挟んだ姉はやたらと嬉しそうな顔をしている。さっきまでの深刻な表情はすっかりなりを顰め、今はただそのキラキラと光る両目を見開いて私を見ていた。
「・・・お姉ちゃん、何よ。怖いんですけど、その顔」
むふふふふ~。姉はそう気持ち悪く笑って、パンと両手を叩いた。



