「か、よい、婚?」
そう!姉はにこっと笑って肩を上げた。
「うちの親にもそんな状況に慣れてもらわないといけないでしょ?私が彼と結婚すると、ある日突然義理とは言え孫が出来るわけなんだから!」
・・・そうなるか!私はあんぐりと口をあけた。そうだ、戸籍を入れれば勿論、その子は私の義理の姪ということになる!なるわよ、わお!
前の席で驚く私をちらりと見て、姉はやたらと得意そうに自分の考えを披露する。
「だから私は実家から彼の家に週に3日通うわけ。そして他の日は実家で過ごす。そうやって慣れていく。娘ちゃんとは喧嘩もまだしたことないし、家族というには膨大な時間がかかるはずよ。それに彼と私はずっと会ってないような過ごし方に慣れてるから、一緒にすごす時間が増えるともしかすると鬱陶しくなるかもしれないでしょ?」
「・・・な、なるかしら。だって5年も付き合ってるんでしょ?」
ちっとも気がつかなかった自分が腹立たしいほどだわ、私はそう思って凹んだ。5年よ、5年!
「離れて過ごすのが当たり前の人達が一緒に過ごすんだから、最初はうわ~!!ってなると思うわ。食事とか、お風呂の使い方とか、生活が入れば当然そうなるわよ。だから通い婚よ。籍は入れずに試してみて、それで頑張れそうだったら、ちゃんと結婚しようって」
・・・・はあ。私はゆるゆると頷いた。それは、確かに無理なく馴染んでいく為には最適かもしれないって。だけど、だけどそれでは――――――――――
「・・・お姉ちゃんは、それでいいの?」
私の質問に、姉は笑顔を消して真面目な顔になった。



