大丈夫?私はまた話しについていけてないのだろうか、ちょっと不安になりながら聞き返すと、彼はうーんと唸って片手で目元をごしごしと擦る。
「あ、痛っ!」
「・・・大丈夫ですか?」
怪我している目元ごしごしやったらそりゃあ痛いでしょうよ、私が多少呆れてみていると、彼は苦笑してだいじょーぶ、と繰り返す。
「だからあんた・・・いや、そっちもダイジョーブだよ。全然大丈夫」
そう言ってから、前かがみになって両手の指先を合わせる。いえ、あなたの目元の怪我の状態と私の離婚問題は全く関係ないでしょうがよ、そう思ったけど、何も言わずに私は彼を見ていた。彼は考えるような顔をしたままで喋りだす。
「・・・別れた原因がDVとかそんなんじゃないんだったら・・・自由になったってことでしょ?お互いに。縁があって結婚したけど、その縁はそれほどのことじゃなかったってだけ・・・と思えば大丈夫なんじゃないかって。まだ人生は長いし、まだ何度でもトライ出来ると思う」
「――――――――」
私は相槌も打たずに聞いていた。離婚して、色んな慰め方をされたけど、こういう言われ方は初めてだったのだ。どっちが悪いとかもうちょっと頑張ったらとかではなく、それほどのことじゃなかっただけっていうのが。
離婚した直後なら多少怒ったかもしれない。あなたに何がわかるのって、私は頭にきたかもしれない。だけどももう5年の月日が経っていて、そういう状態からは抜け出ていた。



