「・・・あの・・・全然判らないんだけど。一体お姉ちゃん、何の話をしているの?」

 私がそう言うと、姉は話し出したのだ。詳しいことを、つらつらと。

「実は結婚を考えている人がいるの。その人からプロポーズされたけれど、彼には今年10歳になる娘さんがいるのよ」

 それに、一体どう答えたら純粋に姉の幸せの為になるのだろうか。

 私にしてみれば、あれだけ忙しくしていつだって家にいたような姉に付き合っている人がいること自体が驚きだったのだ。いつ会ってたの!?って、それ。

「だって相手は仕事もあれば子供もいる人なのよ。そんなに頻繁に会えるわけないでしょ?」

 そう言って姉は笑う。

 最初はそりゃあ寂しかった。だけど、その内私にも都合がいいわって思ったのよって。私はその頃会社を辞めて独立に向けて準備をしていて、恋だの愛だの言ってる時間はなかったし、潤子と住む話を実現するつもりだった。その流れで自然消滅したら、もうそれはそれで仕方ないって。

 姉はにこっと微笑む。

「だけど消滅しなかったのよ。それだけじゃなくて、もう彼の娘さんがいいよって言ってくれたからとプロポーズされちゃってねえ!」

 ・・・はあ。私はぽかーんとしたままでとにかく頷く。

 出会った頃が私の離婚時期と被っていた。だから家族には言えなかったそうだ。バツ1でシングルファーザーの彼がいるの、とは。