手のひらの下で、クリちゃんが尻尾を振りながら二人の人間の話すのを交互にみている。彼女は相変わらずふさふさで温かかった。

「だけど」

 徳井さんは私の方は見ずに話している。

「ゴミ拾いも一緒にやってるようですし、彼の・・・あなたを見る目が、ね。前、それをハッキリと見て、ああ、これは時間の問題かな、と思いました」

「そ、そうですか」

 何と言えばいいのやら。私は困ってとりあえずの返事を呟く。

 本当に、ほんと~うに龍さんが私を見ているのをそう感じたのかな。私には全然そんなの判らなかったんだけれどな・・・。

「あの方は、見かけによらずシリアスな人なんですかね。あなたに合わせるためにやっているようには思えませんでしたよ、ゴミ拾いも。本当に、自分でやりたくてやってる、そういう風に思えました」

 私は徳井さんを見た。彼は風に吹かれて乱れた髪を片手で直し、私を見て穏やかな顔をする。

「実を言うと、心配しました。彼に―――――――あなたが傷付けられないかと。だけど大丈夫みたいだし、あなたは春の頃よりも・・・明るい印象があります」

 私はそれを聞いて、ああ、と思った。

 ちゃんと現れてるんだって。龍さんの影響もあるし、3つのRもやっぱり影響してるんだって。

「私は・・・体が弱くて」

 まだ太陽が熱くて、しばらく立ちっ放しな私達は汗もかいている。それを手の甲でぬぐって私が言った。