3つのR



「あーあ、自業自得とは言え散々だよな。多分店も首だろうし、弁償も・・・うわああ~・・・」

 そう言って更に肩を落とすから、私は笑うのを止めて聞いた。

「え、首なんですか?相手も怪我を?」

「そうそう、相手の方が酷いかな。暴れちまったもんは仕方ないけど、うちの店長怖いんだよ。うわ~・・・絶対拷問だ。まあ前科にならなかっただけでもラッキーと思わなきゃならないことは判ってるんだけど」

「拷問!そ、そんなに怖いんですか、上司の方」

「怖い怖い。戻れるもんなら昨日からやり直したいねえ」

 そう言いながら、彼の顔は随分とアッサリとした表情だった。もう本気で仕方ないないって思っているような。

「それにほら。しまったことに俺、腕を怪我しちゃったんだよな」

「・・・わあ」

 言われてみれば、彼の右手首から肘にかけて包帯がまいてあった。今まで何を見てたの、私!?そう思ったほどそれは目立っていた。・・・板前が腕を怪我。それは、よく考えなくても大変だよね・・・。

 私が同情した顔をしたらしい。彼はきゅっと口の端を上げて笑顔を作ると、まあ、自業自得だから仕方ないっすよ、と言う。

「俺のことはいいや。・・・えーっと、その・・・そちらはどこか、悪いんですか?夜間に点滴なんて、あまり聞かないっていうか・・・うーんと」