「あーあ、自業自得とは言え散々だよな。多分店も首だろうし、弁償も・・・うわああ~・・・」
そう言って更に肩を落とすから、私は笑うのを止めて聞いた。
「え、首なんですか?相手も怪我を?」
「そうそう、相手の方が酷いかな。暴れちまったもんは仕方ないけど、うちの店長怖いんだよ。うわ~・・・絶対拷問だ。まあ前科にならなかっただけでもラッキーと思わなきゃならないことは判ってるんだけど」
「拷問!そ、そんなに怖いんですか、上司の方」
「怖い怖い。戻れるもんなら昨日からやり直したいねえ」
そう言いながら、彼の顔は随分とアッサリとした表情だった。もう本気で仕方ないないって思っているような。
「それにほら。しまったことに俺、腕を怪我しちゃったんだよな」
「・・・わあ」
言われてみれば、彼の右手首から肘にかけて包帯がまいてあった。今まで何を見てたの、私!?そう思ったほどそれは目立っていた。・・・板前が腕を怪我。それは、よく考えなくても大変だよね・・・。
私が同情した顔をしたらしい。彼はきゅっと口の端を上げて笑顔を作ると、まあ、自業自得だから仕方ないっすよ、と言う。
「俺のことはいいや。・・・えーっと、その・・・そちらはどこか、悪いんですか?夜間に点滴なんて、あまり聞かないっていうか・・・うーんと」



