まあ、言いたいことは判るけれど。

 龍さんは確かに女だけしかいないこの家の、あれこれをしてくれている。背が届かないから面倒臭くて替えてなかった廊下の電球や、玄関先の伸びすぎた木なんかを切ってくれたりとか。

 元々じっとしていない性格というか、気になることはその場で処理したいと願う性格なのだろう。ねえ、あれ俺がやっちゃっていい?って彼から聞くことも多かった。

 恐縮する私に、いーのいーの、と手を振って、右田くーん、と呼ぶ姉のお願いをはいはいと聞いている。

 姉がちらっと私を見て言った。

「もうちょっとあんたが彼と仲良くなってくれたらいいんだけどねえ・・・」

 ため息までついた。私はむっとして言い返す。

「かなり仲良くなったでしょ。公園でもカップルだって皆思ってるようだし!」

「でも手を繋がないし」

「家で繋がないでしょ!」

 それともあなたは家で彼氏と手をつなぐのか?私は腰に手をあてて唸る。姉は私からうちわを奪い取って風を自分に送りながら続けた。

「遠慮せずにベタベタしてくれていいのにちっともしないし」

「そういう訳にいかないでしょ!」

「旅行も行かないし」

「龍さんだって忙しいし、彼は大体連休じゃないでしょ」

「ホテルでも泊まってきたらいいのにさ」

「・・・お姉ちゃん・・・」

 がっくり。言い合いに疲れて私は頭を垂れる。姉はそんな私を伸ばした足先でつんつんとつついて更に言った。