店!?私はもう遠慮なく彼を見た。え、え、お店で暴れたってことなんだろうか。うわあ~・・・そんな、やっぱりちょっと怖い人なのかも。
「・・・お店で、ですか」
「そうそう、俺の仕事は板前なんだよ。元々はイタリアンなんだけど、今は居酒屋にいてさ」
「え!?料理作る人ですか?」
この上にまだ驚くことがあるとは!私としてはそんな感じの驚きだった。仰け反った私を見て、彼は小首を傾ける。
「ん、そんな驚くこと?」
だって・・・・。言い難そうな私の顔を見て彼が促すので、私は遠慮なしにピアスの耳元を指差した
「あ、これ?派手?」
耳元の3つの青いピアスを揺らして彼が言う。私はドギマギしながらも、ゆっくりと頷いた。
「・・・派手・・・というか、ルーズリーフみたい・・・」
少なくともご飯を扱う職人さんには見えない。
彼はショックを受けたらしい。眉毛を八の字に落として情けない顔で言う。
「ルーズリーフには足りないだろ、8つはないと!・・・それにしても、俺のトレードマークが・・・」
体の大きな、しかも外見がボロボロの男の人が悄然としているのはちょっと可哀想で面白かった。だから私は思わず声を立てて笑ってしまう。



