「これで3つ目のRも仕上がるでしょ。髪型を変えて、服装もメイクも変えて―――――――――」

 逆光の中、龍さんは格好よく微笑する。話す龍さんの視線が私の髪や首筋や服装を下りて行くのを感じていた。彼の手に包まれている私の手が、彼の確かな温度を伝える。

「―――――――付き合う男も、変える」

 各パーツを、ひとつずつ。新しく変化させていってそれを合体させる。

 そうやって、過去の「私」はリサイクルされる。まるで別人の・・・私、になる。

 龍さんが私の手を包み込んだ左手に力を入れる。


「返事を頂戴、ジュンコさん。俺と付き合ってくれる?」


「・・・は・・・え・・・あのー・・・」

 胸はドキドキで。

 膝はガクガクで。

 喉がカラカラだ。

 なのに瞳は潤って、見下ろす龍さんがちょっと照れたように笑ってるその表情があまりちゃんと見えない。

 ああ、残念・・・きっと凄くいい顔をしてるんだと思うけど。

 彼にも私にも眩しい光がキラキラと舞い落ちては降りかかる。あの青いピアスも光って私を見ているようだった。

 あまりにも眩しいから、目を閉じる。

 そして私の中の大切な言葉を探す。やっと見つけたそれを引き寄せて・・・

 それから、小さく呟いた。


「・・・・はい」