「い、痛い・・・んれすが」

 頬を引っ張られて言葉が変になる。やだ痛い痛い!何なの、急に――――――――。

 彼を見上げると、逆光で影になった龍さんは苦笑しているようだった。

「こんな体勢で目なんか閉じる?それって襲ってもいいってこと?」

「はっ!?」

 お陰様で、バチッと目が開きましたー。私は慌てて彼の手から逃げて、数歩後ろに下がった。

 お、お、襲ってもって・・・。

 龍さんはあははは!と軽く笑ってから、肩を竦めた。

「撫でても嫌がらないし、ほっぺた赤くして目を閉じちゃうし。いやあ~、これは俺ってば脈ありだよね~!ここは紳士ぶらないで、さっさとキスしちゃえば良かったかな~」

「な、な、何を言ってらっしゃるるるのですかっ!」

「あはははは、どもってる上に巻き舌になってるよ!いい反応だねえジュンコさん」

 目の前で、ゲラゲラと龍さんが笑っている。私は恥かしいやら照れくさいやらで体中熱かった。もう、もう、本当にこの人は!

「きょ、今日は私をからかうために会ったんですかっ!」

「怒ってる怒ってる~」