「―――――――わお」

 
 これが、龍さんが変身後の私を見た初感想だった。そこでにっこりとなど微笑む勇気はなく、私は居た堪れない気持ちでただ突っ立っている。

 前日にメールであの川原で待ち合わせね~と言われていて、時間通りに来てみれば、先に着いていたらしい龍さんが堤防の上で川面を眺めているのを見つけた。

 おはようございます、と声を掛けて、振り返った龍さんが言ったのだ。わお、って。

 彼はもう一度垂れ目を細めて、にこ~っと大きく笑う。私はつられてへらっと笑顔を作った。

「髪切ったんだね、ジュンコさん!いいじゃ~ん。何か、前よりも明るい印象になってるよ!」

 彼が立ち上がって私の方へ近づいてくる。大きな靴が砂利を踏んでざくざくと音を立てた。

 今日も彼は、格好良かった。

 短くなった茶髪は無造作に見えるけれどそれで色気を増していて、色の褪せたブルージーンズに白いTシャツ。シンプルで、それが彼の引き締まった大きな体に良く似合っている。

 う~ん・・・不思議。どうしてこの男性が、私なんかに構うのだろうか。

 私はしどろもどろに呟いた。

「あの・・・姉が・・・変身しなさいって、色々・・・」