熱が下がって体が軽く感じるまでそこにいて、それから会計を済ませて電話で姉に来てもらい、家に戻った。
久しぶりに他人と・・・何も関係のない男性と会話をしちゃったわ。そう思い出すと、少しだけ笑えた。多分喧嘩だったのだろう、いいなあ、そんな元気があって。私があんな顔になるまで暴れようと思ったら、腕をあげるだけで熱が出ちゃうわよね、きっと。そんなことを考えて、しばらくニコニコとしていた。
姉に、熱が下がって機嫌がよくなったのねって言われてハッとするくらいに、微笑んでいたようだ。
自分のベッドで眠りにつくまで、彼の青いアクセサリーはしぶとく私の瞼の裏に残っていた。
翌日は昼過ぎまで寝て、ちゃんと熱が下がった状態でもう一度病院に行く。
先生に、点滴で下げるのはあくまでも対応の一つである、と長年言い聞かせられてきた私は大人しくもう一度診察を受けに行ったのだ。
「ああ、ちゃんと来たんだね。偉いじゃないか、潤子ちゃん」
仮眠程度のはずなのに、もう70歳は超えているはずなのに、先生は今日もツヤツヤとした肌で元気そうだった。
「先生が羨ましい・・・。どうしてそんな元気なんですか」
思わず零れた言葉に先生は、はっはっはと笑う。



