あたしから声をかけたのに何を話していいのか分からない。
高鳴る鼓動を両手で押さえて、勇気を振り絞った。
「あの・・こ、この前は薔薇ありがとうございました」
勢いよく頭を下げたので少し幻暈がした。
「それに昨日も・・今日も薔薇とっておいてくれて・・」
「いや、俺が全部買ってしまったからキミに迷惑をかけたんじゃない?」
「えっぜんぜんそんなことないです!」
本当は大迷惑だったけどそんなこと言えるわけもなく。
長い沈黙が続く。
えっと名前聞いていいのかな?
連絡先は?
それは失礼??
あたしの頭の中はもうパニック。
顔を伏せて考えていると、急に目の前に薔薇の花束が広がった。
そして耳元には低い渋い声。
あたしの体がビクッとなるぐらいに響く声。


