人前では「俺」っていうクセがついていたのに、 百合子の前でつい「僕」になってしまった。 それに気付いて僕は急に恥ずかしくなった。 ただそれだけ百合子の前では本当の僕でいたかったんだ。 「ごめんなさい・・」 「あ、いや・・えっと・・ すみません」 「どうして平野くんが謝るの? おかしーい」 そう言って百合子はいつもみたいに笑った。 「病気はどうなんですか?」 「それは、この前さ、夜中にアイス食べ過ぎて下痢になったの。 それが悪化したみたいで・・」 ヘヘッと笑って頭を掻いて見せた。