薔薇女子高生は俺に礼を言うと目を伏せた。 もう少し もう少しだけ 彼女の視界に入っていたかった。 そう思うと体は勝手に動いて、 一度だけ俺の名前と携帯番号を耳元で呟いた。 それは期待というより、賭けに近いものだった。 もし彼女が覚えていないなら俺は今までの通りの生活に戻る。 ただそれだけのこと。 でももし彼女が覚えていたなら・・・ 俺は柄にもなく甘い恋の予感みたいなものを信じてみたくなったんだ。