次の日も薔薇を買いに花屋に向った。
菜花があんなに喜ぶなんて思わなかったから。
今、俺ができる唯一のこと。
「す・・すいま・・ぜぇ・・はぁはぁ・・バ、薔薇を・・はぁ」
会計をしていると、激しい息遣いが聞こえてきた。
両手いっぱいの薔薇の花束が邪魔で顔が見えない。
息遣いがする方へ俺は顔をゆっくり向けた。
「あっ・・」
その瞬間、時間が止まったように思えた。
真っ赤な顔をして、少し上目遣いで俺を見る。
額の汗が流れ落ちた。
綺麗だ・・・
俺と彼女の視線が絡む。
そこには何も邪魔するものがなくて、俺の目を捉えて離さない。
ドクドクドク・・・
自分の鼓動の早さの意味が分からない。


