取引先からの帰り、
ピンクがやけに目立つ花屋の前を通り足を止めて見ると
薔薇がたくさん置いてあった。
薔薇か・・・
ふいに、あの女子高生が頭を過った。
薔薇女子高生の哀しげな表情が印象的だった。
俺は菜花にと思い残っていた薔薇を全部買った。
「ど、どうしたの?
その薔薇・・」
「あぁ、花屋の前を通ったからね」
「どうして薔薇なの?」
「え、あ、
花と言えば薔薇じゃないか?」
まさか女子高生を思い出しました、なんて言えるわけがない。
「そっか、ありがとう!!」
子供のように薔薇を見てはしゃぐ姿を愛しいと思った。
こう思う気持ちは嘘じゃない。


