親父は笑いながら
「仕方がないですよ」
この言葉を繰り返すが
その顔が怒っているのが分かる。
左の親指が小刻みに動く。これは親父が静かに怒っている時の癖だ。
まるでカウントダウンが始まったように、親父の声もだんだん
強くなる。
なぜなら俺の見合い相手が約束の時間になっても現れないから。
1時間が経とうとして、
そろそろ俺もすっぽかされたかなと思い始めた時、
「ご、ごめんなさい!」
と大きな声と一緒に女が入ってきた。
破れたジーパン(ダメージデニムというらしい)に、
露出の激しいキャミソール(それぐらいなら分かる)姿。
俺も親父も呆気にとられていると、ふいに女が俺を見た。
「いや〜ん、
やっぱりイケメン!!」
な、なんだ?この女??
「な、菜花!!
着替えてこい!!」
菜花の父親が真っ赤な顔で怒鳴った。
「はーい」
悪びれた様子もなく部屋を出て行った。


