「美桜はまだ薔薇を買ってるのかい?」


少し手を休めて、額の汗を拭って聞いた。


「うん毎日、
お母さんに届けてるよ」

「どうして薔薇なんだ?」

「えっ?

だって、お母さん薔薇が一番好きだったんでしょ?」



首を傾けるあたしを不思議そうに見る。


あたしを見てくれることがこんなにも嬉しい。







あの日、三輪さんに言われてから

ずっと気になっていたことを思い切って聞いてみた。



「ねぇお父さん、
美桜って名前誰がつけたの?」


お父さんは楽しそうに笑って

「もちろんお母さんだよ」

と言った。



「お母さんは桜が一番好きだったからね」

「えっ・・?」





爽やかな風が吹いて、新しい季節を運んでくる。





また来年、桜を見るのが楽しみだな・・・





今度はどんな『愛』に出会えてる?