約束した土曜日がやってきた。


天気は雨。


だが、結沙の心は対照的に明るかった。


結沙は鏡の前に立ち、


(髪型…よし。服装……うん、乱れてない。鞄は持ったし…。ええと、ちゃんとお財布は…いれたね)


とチェックをした。


「よ、よし!完璧!!」


そして、ぐっと拳を握る。


すると、結沙の様子に気が付いた母が、ニヤニヤと笑いながら言った。


「あれ、結沙?もしかしてデート?」


「なっ!そ、そんなわけないじゃん!浅野に限ってそれはないから!だ、第一友歌もいるし!!」


「あら、男の子と遊ぶのは本当なのね。やけに気合いが入ってると思ったら」


「は、はいはい分かったから!行ってきます!」


「ふふふっ、行ってらっしゃい」


母の薄笑いを背に、結沙は傘を持ち玄関の扉を開けた。









友歌との待ち合わせは場所は、街中にある大きなゲームセンターの前だ。


そして、薫とはゲームセンターの中で待ち合わせにしている。


要するに、まずは友歌と会い、その後薫と会うという予定だ。


結沙は街中に行くため、電車に乗った。


席に座ると、小さく息を吐く。


(な、なんでだろ…どうしてこんなに緊張してるんだろ…。と、特定の男の子と遊ぶのなんて小学校以来だからかな。そうだそうに決まってる!)


結沙は妙に意気込んだ。


そして、十分ほどたった頃、目的の電停についた。


結沙は電車から降りると、ぎゅっと傘を握った。


(だ、大丈夫よ大丈夫、落ち着きなさい、福宮結沙!)


そして、傘をバッと広げる。


「よし!」


結沙は待ち合わせ場所に向かって走り出した。