毒舌家で気分屋なあなたに恋をした

社会の授業中。


結沙は教師の言葉を聞き、ノートに写していたが、薫は相変わらず机に伏せていた。


(ホント、全然真面目にやらないんだから)


結沙は不平に思いながら、カリカリとノートに板書をする。


「はい、ではこの問題について、班隊形にして考えてください」


教師の言葉に、皆が動き出す。


結沙が机を動かすと、薫もゆっくりと机を動かしだした。


班隊形にすると、結沙と薫が向かい合う形になる。


そして、結沙の右隣には星菜、右斜め前には彰翔がいる。


この班を仕切るのは、常に結沙だ。


「で、この問題なんだと思う?」


「まず、代表がいる、じゃね?」


星菜が意見を出す。


結沙は頷き、ノートに書いた。


すると、薫が口を開いた。


だが、


「あと、たしゅう…多数決で決めるじゃ」


結沙は自分の耳を疑った。


「ま、待って浅野くん、今“たしゅう”って言わなかった?」


「っ!」


言い間違いを指摘され、薫は顔を赤くする。


そんな薫を見て、結沙や星菜、彰翔たちは笑い出した。


特に結沙はおかしくて大笑いした。


「ふふっ…あははははっ!」


「お、お前なぁっ!」


「い、いやだって、ふふっ」


「っ!」


薫は筆箱を取ると、結沙に投げようとした。


だが、その瞬間筆箱の中から消しゴムが出、床に転げ落ちた。


それを見た薫の顔は、完全に真っ赤に染まっている。


薫は結沙を睨みつけた。


「あーホント今日の俺おかしいわ…。全部お前のせいだからな!!」


「え、いや私何もしてないし!」


結沙の声も聞かず、薫は消しゴムを拾い筆箱の中に戻すと、結沙に向かって投げつけた。


結沙は慌てて両手でそれを受け止めた。


「わわわっ!ちょ、ちょっと!投げてこないでよ!」


結沙はそれを薫に投げ返す。


だが、薫は再び結沙に投げる。


「だ、だから投げてこないでってば!」


薫と結沙のそんなやり取りを見ている、星菜と彰翔は顔を見合わせると、ニヤリと笑った。


そして、


「「青春だねぇ」」


と呟いた。