授業が終わり、休憩時間となった。


いつも通りのメンバーで、たわいのない会話をする。


すると、途中で薫がつぶやいた。


「今週の土曜日暇だなー」


結沙はこれはチャンスだと思った。


幸い、星菜も彰翔も薫のつぶやきに気付いていない。


(こ、ここで遊びの約束を取り付ければ…!で、でも、急にはおかしいよね)


表面に焦りが出ないように気を付けながら、結沙は答える。


「そうなんだ。私も土曜日暇だなー」


「ゲーセンでも行くかぁ」


結沙は間をうかがい、そっと言った。


「………遊ぶ?」


すると、薫は満面の笑みを浮かべた。


「あの音ゲーする?いいよー」


結沙は唖然とした。


(りょ、了承された!?しかもあっさり!この気分屋に!)


しかもなんだ、あの子供のようなキラキラした笑顔は。


(あー…ダメ。ホント心臓に悪い)


結沙は額を押さえた。


にやついた顔を、隠すように。