結沙は、気が付くと常に薫を見ていた。
(浅野くんって表情がコロコロ変わるよなぁ…。さすが気分屋。それに思った否定的なことをすぐ口に出すし…。心の中だけにしとけばいいのに。まぁ、だからこそお世辞を言わないから、あの『楽しかった』って言葉に凄く喜べれるんだけどね…)
長所と短所は紙一重とはよく言ったものだ、と結沙は感じた。
(それにしても…浅野くんと手を繋ぎだい頭をなでたい抱きしめたい……って最近ずっとこればっかり考えてるよ)
好きなのかどうかはまだあやふやだが、確実にその欲求があるとは言える。
(………あれ、私変態じゃない?)
今さらながら結沙は気が付いた。
✽
授業中。
彰翔はいつも通り後ろを向いて薫と話していた
。
結沙は二人の会話に耳を傾ける。
すると、その時薫が言った。
「そうそう、この間こいつと尾川と遊んだんだけどさ」
結沙は驚いた。
(え、急に私の話題!?)
「ん、どうだった?」
と彰翔が返す。
すると、薫は笑いながら続けた。
「まぁ、あれのレベルはまぁまぁかな」
結沙は、あの音ゲーのことを言っているのだろうと思った。
「へぇ」
彰翔の返事は淡泊だ。
本来彼はこういう性格だから、当たり前といえば当たり前なのだが。
すると、そこで薫は何かを思い付いたように言った。
「そういえば、こいつね、傘の中に俺を入れようとしてくんの。身長の低い方が持つってウケるよね」
「お前が持ってやれよ」
彰翔が至極まともな突っ込みをした。
すると、薫は結沙が考えていた通りの発言をした。
「いや、だって俺別に入らなくてもいいし。だったら抜けるよ」
(ですよねー!)
結沙は心の中で叫ぶ。
薫はそこまで話すと、くるりと前を向いた。
すると、その途端、彰翔が薄笑いを浮かべながら、結沙に言った。
「良かったね」
結沙の心臓が、ドキンと跳ねた。
(――!な、なっ!!)
結沙は動揺がバレないよう、平静を保ちながら答える。
「え、何が?」
「いや、別にー」
彰翔はそう言うと、視線を結沙から黒板に移した。
(こ、こいつ…!)
絶対気付いてる、と結沙は感じた。
(さすが坂橋さん…侮り難し……)
結沙はこっそりと小さく息を吐いた。
(浅野くんって表情がコロコロ変わるよなぁ…。さすが気分屋。それに思った否定的なことをすぐ口に出すし…。心の中だけにしとけばいいのに。まぁ、だからこそお世辞を言わないから、あの『楽しかった』って言葉に凄く喜べれるんだけどね…)
長所と短所は紙一重とはよく言ったものだ、と結沙は感じた。
(それにしても…浅野くんと手を繋ぎだい頭をなでたい抱きしめたい……って最近ずっとこればっかり考えてるよ)
好きなのかどうかはまだあやふやだが、確実にその欲求があるとは言える。
(………あれ、私変態じゃない?)
今さらながら結沙は気が付いた。
✽
授業中。
彰翔はいつも通り後ろを向いて薫と話していた
。
結沙は二人の会話に耳を傾ける。
すると、その時薫が言った。
「そうそう、この間こいつと尾川と遊んだんだけどさ」
結沙は驚いた。
(え、急に私の話題!?)
「ん、どうだった?」
と彰翔が返す。
すると、薫は笑いながら続けた。
「まぁ、あれのレベルはまぁまぁかな」
結沙は、あの音ゲーのことを言っているのだろうと思った。
「へぇ」
彰翔の返事は淡泊だ。
本来彼はこういう性格だから、当たり前といえば当たり前なのだが。
すると、そこで薫は何かを思い付いたように言った。
「そういえば、こいつね、傘の中に俺を入れようとしてくんの。身長の低い方が持つってウケるよね」
「お前が持ってやれよ」
彰翔が至極まともな突っ込みをした。
すると、薫は結沙が考えていた通りの発言をした。
「いや、だって俺別に入らなくてもいいし。だったら抜けるよ」
(ですよねー!)
結沙は心の中で叫ぶ。
薫はそこまで話すと、くるりと前を向いた。
すると、その途端、彰翔が薄笑いを浮かべながら、結沙に言った。
「良かったね」
結沙の心臓が、ドキンと跳ねた。
(――!な、なっ!!)
結沙は動揺がバレないよう、平静を保ちながら答える。
「え、何が?」
「いや、別にー」
彰翔はそう言うと、視線を結沙から黒板に移した。
(こ、こいつ…!)
絶対気付いてる、と結沙は感じた。
(さすが坂橋さん…侮り難し……)
結沙はこっそりと小さく息を吐いた。
