帰りのSHR開始前の、わずかな時間。


結沙たちはいつも通り会話していた。


すると、そこに集配係によって、時間割を書く記録本が配られた。


そこには時間割だけではなく毎日簡易日記を書くようになっており、毎朝担任に提出する。


そして、帰りのSHR前に係が配るのだ。


皆、パラパラと自分の記録をめくりだした。


すると、薫が不意に笑い、彰翔に記録を見せた。


「見ろよこれ、この担任のコメント」


「うわぁ、日記の内容と全然関係ないじゃん」


「だよなぁ」


そして、星菜も記録をのぞき込み、笑った。


「ホントだ全然関係ない。しかもマジレスじゃん」


そこで結沙は疑問に思った。


(そういえば、浅野くん、私たちと遊んだ日のことは一体なんて書いてるんだろう…)


すると、薫が記録を机の上に置いた。


結沙はそれをそっと取り、先週の土曜日――結沙たちが遊んだ日のページを開く。


そこに書いてあったことは。


「っ!!」


結沙は日記を見、目を見張った。


すると、薫がハッと気が付いたように、結沙の手から記録を取った。


結沙はうまく回らない頭で考える。


(嘘…今、書いてあったことって……!)


結沙は、ゆっくりと心の中で先程見た言葉を反芻した。


(『久しぶりに楽しい日だった』って…。浅野くんも、楽しいって思ってくれてたんだ!ああヤバい、顔がにやけそう。いや、私絶対にやけてる)


こんなに嬉しいことは久しぶりだと、結沙は強く感じた。