「起きたか。
朝飯出てるからさっさと食って学校行けよ!」
そう言うのは私の兄貴。
鮎川 俊(あゆかわ しゅん)20歳。性格は意外と心配性。
「わかってるよ!
あれ?
お父さんは?」
「あー。
まだあっちにいるとさ。」
「ふーん。まだ準備してんだー。
……お父さんと違って兄貴は……
パン…下手くそだね。」
そう言って兄貴の失敗作のパンを食べる。
「…お前なぁー。
パン作りなめんじゃねーぞ!」
「なめてなんかないし。大変なのは知ってる…」
私の家はお父さんと兄貴でやってる小さなパン屋。
お母さんは私が小さい時に家を出ていったらしい……
お母さんとの記憶は無い。
「あと、店から好きなの持ってけよ?」
私はお父さんと兄貴が弁当を作ってくれないから、いつも店からパンを2〜3個持って、お昼に食べる。
