そのくらい、知ってたよ



















「倉澤さん、リキ君が迎えに来てるよ。」





「えっ?」






美月の声に、ワークから顔を上げる。
教室のドアのところを見ると、確かにリキ君が私に向かって手を振っていた。
リキ君、次の時間体育じゃなかったっけ。



「あ、教えてくれてありがとう」




「いいよー、別に。行っといで行っといで。」


「うん、行ってくる。」




ガタンと席を立つと、廊下にでる。
やっぱり、廊下は暖房入ってないから寒い。





「ごめん、しぃ。勉強中だった?」




廊下から教室を覗いていたリキ君は、申し訳なさそうに尋ねてくる。
私は、リキ君のそういう顔に弱い。



「ううん、予習してただけ、だよ。」