「……月夜のおかげで死が近いって思わずにすんだから。」
「…死神と一緒にいるのに…か？」
確かに月夜は死神だ。
なのに、死神と言う感覚はあまりなかった。
「うん。
だから…はい。」
私は月夜に出来立てのチーズケーキを差し出してほほえんだ。
「月夜。
いつもありがとう。
残り少ない間だけど、これからもよろしくね。」
「……。」
月夜は無言でチーズケーキを受け取ると、近くにあったフォークを手に取り、一口口に運んだ。
「……。」
「…どう？」
「……まあまあ、なんじゃね？」
「ええっ。
“美味しい”って言葉を期待したのに!!」
私の言葉に月夜は少しだけ微笑んだ気がした。
それは久しぶりの笑顔だった。
甘いものは人を幸せにできる。
その言葉は間違ってない気がする。
月夜の“まあまあ”は“美味しい”だと捉えるようにしよう。
こんなこと言ったら、おめでたい奴だなって言われるだろうけどね。
