「…じゃあ、恋させてやるよ。」


ベッドに座っていた月夜さんがさっきみたいに近づいてくる。


何だろう?
そんな疑問はすぐに吹っ飛んだ。


私の身体は、ベッドの軋む音とともにあっという間に押し倒され、彼の唇によって私の唇が塞がれていた。


「……っんっ?!」


な、なんで!?
私は思いっきり月夜さんの身体を突き飛ばした。


「…ってぇ…」


「な、何で月夜さんがキ、キス…!?」


しかもこれは当然のことながら私のファーストキスだったわけで。


そんな私の質問をスルーし、さっき感じた彼の柔らかく温かい唇を耳に寄せ、掠れた声で甘く囁いた。


「…月夜と呼べ、夢希…」


その声は私の思考回路を甘く溶かしていった。
声フェチではない私ですら酔ってしまいそうな、頭の芯から痺れてしまいそうな声だ。


初めて名前で呼ばれて心臓が大きく跳ね上がったのを感じた。


「…ない…と。」


私は戸惑いながらもそう口にした。

すると彼はまたもや意地悪な笑みを浮かれた。


「よくできました。」


…ちゅ。


「なっ!?」


ま、またキス…っ!!!


今度は頬だったけど、恋に奥手の私には刺激が強すぎた。