「…“恋がしたい”か。
いかにもバカらしい最期の願いだな。」


…は?
私今、声に出したっけ?
私の心を読み取るように彼はそう言った。


しかも…バカらしくなんかない。
私は、本当に純粋に、いつか運命の人が現れるって信じてた。


…出逢う前に死んじゃうなんて……。


気づいた時には、私の頬に涙が伝っていた。


「……どうして死ななきゃいけないの…?私は、このまま死にたくない…。」


本音だった。
恋だけじゃない。
この世でやり残したことなんかたくさんある。でも一番はやっぱり恋がしたかった。


「…恋したら満足なのか?」



…“運命は決まっている”
彼はそう言った。


死ぬことが決まっていたとしても…


「…恋、したい。」


出来ることなら、佑斗と…。


私は大好きな彼の顔を思い浮かべた。


そんな私をよそに、月夜さんがニヤリと笑った気がした。