「岩本って兄貴いたんだな。」
「う、うん。
誰にも言ってなかったけど、3つ上のお兄ちゃんがいるよ。
厳密に言うと、いとこのお兄ちゃんかな。」
さすがに“兄”と言うには似てなさすぎる。
だからここはいとこのお兄ちゃんってことにしておこうと思った。
そして、動揺が悟られないよう、できるだけ平静を装って答えた。
「言ってくれてもよかったのにー!」
絵里がそう答えながら、目で私に“大丈夫だよ”と訴えているような気がした。
『ねー佑斗。
その2人ばっかり構ってないで、私たちとも話そうよー!』
すると他の女子が佑斗に話しかけにきた。
それにハッとし、辺りを見渡すと、クラスの女子が私と絵里をものすごい形相で睨みつけていた。
“佑斗を独占すんな”と言わんばかりに。