「な………っ!?」


私は真っ赤になりながら口をパクパクさせ、月夜の顔を見た。


「夢じゃねえよ。
現実だ、現実。」


「…さ…いあく…」


夢だと願いたかった。
夜中に起きたことはあまりに非現実的すぎて…。


「最悪でもなんでも、これは現実だ。」


「あーあーあー聞こえなーい!
何も見えなーい!」


私は耳を塞ぎ、目をぎゅっと閉じた。


「…ら…」


耳を塞いでいて、月夜が何を言っているかなど殆どわからない。


目を閉じているせいで、月夜がどんな表情をしているのかわからない。


そんな私の唇に温かい感触を感じた。