「俺、夢希のこと好きだ…」


耳元で甘く紡がれる、甘い言葉。
これは夢なのだろうか…
生と死の狭間と言う不確かな場所にいるのだから、本当に夢なのかと思えてくる。


「夢なんかじゃねぇよ…
てか、俺もお前にこうして思いを伝えられてるなんて、夢みてぇ。
…予定ではお前は即死、話すタイミングなんてほとんどなかったはずだったからな。」


「月夜…っ」


私は月夜に強く抱きついた。
死神と人間。
まさか両思いになれるなんて思いもしなかったから。



それでも…


「一緒にいられるのは、今のうちだけだ。…俺が消えるか、お前が死ぬか。」


そんなの、分かってる。
私たちは結ばれない運命なのだから。


「俺な、卑怯だった。
夢希のことが好きでも、俺は俺自身の身を守ろうとした。
…でも夢希はその逆だった。」


自分の身はどうなってもいいから、他の人を助けたい。


「…千佳を助ける姿を見て、俺は間違ってたんだなって思ったんだ。」


「だから、俺は夢希の為なら、消えてもいいんだ。…お前のせいで、俺は俺らしくなくなっちまった。」


月夜は苦笑いしながら、そう言った。