「やーっと邪魔者がいなくなった♪」


千佳ちゃんはそう、楽しそうに笑った。


「……なんで……」


「なんで?
アンタを殺すのに、絵里と佑斗が邪魔だったからこうしたまで。」


「大丈夫。
死なせるのはアンタだけ。」


そう告げると、千佳ちゃんはカバンから、大きな刃物を取り出した。


「…なんで…私千佳ちゃんに悪いことなんか…」


「うん、してないよ?
ただね、私あなたのことずっと大嫌いだった。」


「なんで…」


「なんで?
そんなの決まってる。
私も佑斗が好きだから。」


そんな……
まさか、千佳ちゃんも佑斗を……


「教えてあげるよ。
私と佑斗ね、小さいときからの幼なじみだった。そして私の初恋の人。」


「小さいときは本当に仲がよかった。
佑斗の一番は私だと思ってたのに、大きくなるにつれて、どんどん遠ざかって行った。」


「いつの間にか、“佑斗はみんなのもの”とか意味の分かんない制度ができて。」


「なのにいつの間にか、佑斗はある人ばかりを見つめるようになってた。」


「それが夢希ちゃん、あなたよ。」


「夢希ちゃんを見てればすぐにあなたたちが両思いだってわかった。」


「絶対に、許せなかった。
私よりあとに佑斗に出会ったあなたに、佑斗を渡したくない。」


「……でも、私は佑斗をフった。」


「ええ、そうね。
…それによって私が動く羽目になった。
両思いになってれば、きっとファンの子たちが殺してくれただろうに。」


そう言うと、千佳ちゃんは私に一歩近づいた。


「私はね、告白を受けようと断ろうと許せないの。佑斗の心を奪ったことには変わりない。それだけで、許せない。」


「…そんな…」


「だからね、夢希ちゃん。」


「ここで、死んで。」